Introduction

イントロダクション

京都らしさが際立ち、
かつ上質なサービスを。
求められたのは、
今までにないホテルの姿。

2016年、当社は、滞在そのものが旅の目的となる「デスティネーション型ホテル」を目指す新ホテルブランド「ザ セレスティンホテルズ」の開発プロジェクトをスタート。同時にその第一号として開業する「ホテル ザ セレスティン京都祇園」、続いて開業する「ホテル ザ セレスティン銀座」の2つの開業準備室を発足した。全く新しいホテルブランドとして京都祇園にどのようなホテルをつくるのか。開業に至るまでのプロジェクトチームの姿を追った。

Project Members

プロジェクト担当者

柴田 律幸

総支配人

柴田 律幸

1999年入社

大野 和也

本社 新規開業

大野 和也

1993年入社

野口 彩

フロント

野口 彩

2013年入社

当社の未来を拓く“攻め”の戦略として、
変化の時代に対応する新ブランドを。

2016年4月、「ホテル ザ セレスティン京都祇園」の開業準備室室長を任された柴田は、少なからずプレッシャーを感じていた。「それまで私が新規開業に携わってきた三井ガーデンホテルの場合はすでにコンセプトが確立されていました。しかし、今回は、コンセプトづくりからお客さまターゲットの設定、サービス内容に至るまで、本当にゼロからのスタート。これは大変な仕事になると感じました」

一方、本社・事業推進部のメンバーとして新ホテルブランドの開発プロジェクトを担当する大野は、当社としての新しい挑戦に胸躍らせていた。「時代の変化に対応し、ホテルのカテゴリーを拡大するという攻めの戦略に挑む。そのため、それまで三井ガーデンホテルの新規開業に携わった時は開業準備室だけでものを考えていましたが、今回は全社的な視野で取り組んでいく。これほど面白い仕事はありません。京都祇園と銀座、両方の開業準備室のメンバーとともに、新ホテルブランドのコンセプトを検討した上で、全くロケーションの異なるそれぞれのホテルに対して、ブランド価値をどのように落とし込んでいくか。それをトータルに考えていくのが私のミッションでした」

3つのコンセプトを軸に
“京都らしさ”をいかに表現するか。

開発プロジェクトのスタートから半年に渡って、メンバーたちが議論を重ねたのは、ホテル運営のコアとなるコンセプトづくりだった。課題は、アッパーミドルクラスの三井ガーデンホテルに対して、ハイクラスを目指す新ホテルブランドの特徴づけをどう構築するか。「現在進行中のハード(建物・客室)や事業計画に沿って私たち運営会社としてできることは何か。議論の末に出てきたキーワードは、“スモールラグジュアリー”。ターゲット層は、旅慣れた人、感性豊かな人でした」と大野。

こうして開発プロジェクトメンバーの共通認識として新ホテルブランドの方向性が定まり、最終的に打ち出された3つのコンセプトが「Local Experience」「Private Style」「Personalized Hospitality」だった。

この時、柴田が考えていたのは、同ホテルとして“京都らしさ”をどう表現するか。「国内外の両方のお客さまに喜んでいただける、京都らしい何かを考えて実行していく必要があり、しかも、三井ガーデンホテルとは明確に何が異なるのかをお客さまにわかりやすく打ち出していかなければなりません」

柴田は、3つのコンセプトを軸にお客さまに喜んでいただける“京都らしさ”をつくっていくことに力を注いだ。その一つが、着物を着たスタッフがエントランスでお迎えを行うことや、ロビーのソファにお座りいただいてチェックインを行う「シッティングチェックイン」だ。「旅館ではなく、宿泊主体型ホテルでありながら、お客さまにそうした上質なサービスを提供する。そこに他のホテルとは異なる競争優位性が生まれます」

さらに、柴田がこだわったのは、「Local Experience」を実現するための、京都祇園エリアの事業者等との外部連携だ。目的は、祇園の地にあるさまざまな素材をお客さまに提供し喜んでいただくこと。しかし、その実現に向けての準備は簡単ではなかった。「祇園は京都の中でも伝統的なエリアであり、新規事業者を受け入れていただくためには、地元の方の理解が必要です。そんな中、地道に情報を集め、足を運び、話をして連携を少しずつ進めていきました」

外部連携、オペレーション構築、スタッフ教育……。
開業日を見据えて、一つ一つ形にしていく。

開業まで半年に迫った2017年4月。「三井ガーデンホテル銀座プレミア」でロビーアテンドを担当していた野口が、開業準備室のメンバーとして新たに加わった。「一度は携わってみたかった開業、しかも新ブランドの立ち上げということで期待感が大きかったですし、やりがいがあるなと奮い立ちました」

最初に野口が柴田から任されたのは、外部連携だった。野口は、ネット検索はもちろん、休みの日にもいろいろな場所に足を運んで情報収集し、京都らしさを感じてもらえるものを探索。評判の菓子舗と交渉し、商品に同ホテルのロゴを入れてもらったり、アニバーサリー用プレゼントとして祇園のお店でしか入手できない商品を導入したり、次から次へと連携を成功に導いていく。「中でも、これまでホテルと連携したことのない個人商店に何度も通って交渉し、素敵なフルーツコフレをアニバーサリーギフトの一つとして導入できたのはうれしかったですね」

野口の仕事は外務連携に留まらない。「シッティングチェックインに代表されるように、これまでの当社ホテルにはないサービスを導入することから、教育は最重要課題」と認識していた柴田は、アルバイトスタッフの教育研修を野口に託した。「通常は開業2カ月前のところ、4カ月前から教育研修を始めました。シッティングチェックインからお客さまをお部屋へご案内するまで、スタッフ一同でどう応対していくのか。トータルのオペレーションを考えて、それをスタッフ全員がスムーズに実行できるよう指導していくのはとても大変でした」

野口は試行錯誤しながらも、当社ホテルのフロント担当として長年後輩を指導してきた経験を活かし、スタッフ一人ひとりの接客応対サービスのレベルアップ向上を図っていった。

開業は、これから愛されるホテルを
つくっていくスタート地点。

2017年9月、「ホテル ザ セレスティン京都祇園」が開業を迎えた日。柴田は、1年半かけてゼロからつくりあげてきたものをお客さまにお披露目する日を迎えられたことに感慨を抱くとともに、ある決意を胸にしていた。「ホテルは開業をして終わりではありません。ここからが、愛されるホテルをつくっていくスタートなのだと身を引き締めました」

一方、野口はスタッフがお客さまに喜んでいただけるサービスを提供できるか、一抹の不安を抱いていたものの、想像以上にスタッフの応対が素晴らしく、ほっと胸をなで下ろしていた。

大野が気にしていたのは、接客応対サービスにおいて、スタッフがいかに京都祇園のお客さまの感性に近づいているかということだった。「お客さまサービスの手順は経験を積めば出来てくるもの。当ホテルが求められるのはそうした技術的なところよりも、お客さま一人ひとりの目線に立って何が必要か考えるホスピタリティの部分です。開業半年前にプロジェクトメンバーがブランドブックをつくり、スタッフ全員に訴え続けていましたが、開業時のスタッフの動きを見て、それが浸透していることを実感できてうれしかったですね」

「京都祇園」のすべてを常にアップグレード。
同時に新ブランドの価値向上を目指す。

「ホテル ザ セレスティン京都祇園」はお客さまから高く評価され、リピーターも順調に増加。また昨年は、当社で年1回行われる、優れたホテルや活躍したスタッフを表彰する式典で、最も優秀なホテル“THE BEST HOTEL”に選ばれた。これまでつくりあげてきたものは確実に実を結んでいる。野口は今、日勤インチャージ(時間帯責任者)としてフロント業務を行う中で、お客さまに同ホテルらしいおもてなしをスムーズに提供する体制が実現できていることに誇りを感じている。

しかし、総支配人を務める柴田は現状に満足していない。「例えば、京都祇園には体験型観光に結びつく豊富な素材がまだまだたくさんあります。これらを当ホテルならではのものとしてつくりあげていく努力は引き続きしていかなければなりません。もちろん、京都祇園らしいおもてなしの面でも継続と進化が必要。あらゆる面で、お客さまがまたこの祇園の地に帰ってきたくなるホテルであり続けるよう、常にアップグレードしていきます」

引き続き、本社・新規開業で全社の事業推進を担う大野は、「ザ セレスティンホテルズ」の次の展開を視野に入れ始めている。「銀座、東京芝、京都祇園の3つのホテルが軌道に乗った今、さらなる世界へのブランド認知向上、リピーター・ファン増加を目指して、新しいことへチャレンジしていきたいと考えています」

「ホテル ザ セレスティン京都祇園」の成功を礎に、「ザ セレスティンホテルズ」の挑戦はこれからも続いていく。