Introduction

イントロダクション

当社初のチャレンジ、
新しい滞在価値を提供する
“次世代型ライフスタイルホテル”を
成功に導く。

2019年、当社は、新ホテルブランド「sequence(シークエンス)」開業プロジェクトをスタート。それは、これまでのターゲット・コンセプトとは全く異なる、“次世代型ライフスタイルホテル”として、渋谷・京都五条・水道橋にホテルを連続開業させるという、当社初の挑戦でもあった。その第一弾として2020年8月に開業したのが、「sequence MIYASHITA PARK」だ。新ホテルブランドとしていかにホテルを開業・運営していくのか。プロジェクトメンバーの軌跡を辿る。

Project Members

プロジェクト担当者

長谷部 修一

シークエンス事業部長

長谷部 修一

2019年入社

マネージャー

永井 晋一

2010年入社

フロント

小酒井 美紀

2017年入社

熱い想いこそが、ゼロベースから始める
未知のプロジェクトを推進する原動力。

2019年4月、新ホテルブランドの開業準備室へ異動した永井は、当社として初めてのチャレンジであるプロジェクトに胸を躍らせる一方、誰もがそれぞれの立場で正しい回答をする中で、方針を決めることができない状況にもどかしさも感じていた。「ゼロベースから始めるプロジェクトだったので、半年くらいはメンバーみんなで新しい考え方をどう実現するか手探りの状態でした」
そんな中、プロジェクトチームに転機が訪れる。前職でライフスタイル型ホテルの企画や建築、運営などのノウハウ・経験を培ってきた長谷部が、9月に「sequence MIYASHITA PARK」開業準備室室長として入社、プロジェクトにジョインしたのだ。「新たなスタイルのホテルブランドをつくりあげていきたいという会社の熱意に共感したのが入社理由です。また、何よりもいいなと思ったのは、入社前に永井を含めたメンバーと話をした時、彼らから熱い想いを感じることができたことです。これまで色々なブランドを立ち上げてきた経験からすると、メンバーがやる気になっていないチームではスタートダッシュできません。ただでさえ新ブランド立ち上げは困難なことですが、これだけの想いを持ったメンバーと一緒ならばやれると決断しました」一方、永井は長谷部に出会った時の思いをこう語る。「ライフスタイル型ホテルについて、自分たちでは判断できない色々なことを質問したのですが、それに対して明確に答えが返ってくる。これは一気にプロジェクトが進みそうだなと感じました」

3つのホテル共通のコアバリューとは何か?
突破口となったコンセプトづくり。

長谷部が最初に着手したのは、新ホテルブランドのコンセプトを整理することだった。「本プロジェクトは、渋谷・京都五条・水道橋の3つのホテルを連続開業させる計画。各ホテルにプロデューサーが存在し、それぞれがブランドコンセプトに対する想いを持っていました。しかし、あくまでも『sequence』は一つのブランド。それぞれの想いを共通のコアバリューとして統合整理し、その上で各ホテルの特徴としてのバリューを見出すという流れで、関係者と一緒にブランドコンセプトを整理していきました」
その後、長谷部が新ホテルブランドコンセプトを運営でどう実現するかの判断と方針を示し、永井はそれをホテル開業に向けて具現化していく役割を担った。「三井不動産、外部コンサル、社内の関係部署など、いろんな角度から多様な意見があったのですが、コンセプトも決まり、方針が示されることでやるべきことが整理されました。また、具現化に向けて、ブランド共通のアメニティや備品の準備はもちろん、オペレーションを構築するにしても、メンバーに対して伝えやすくなりました」最終的に決定した、新ホテルブランド「sequence」のコンセプトは、「SMART:気の利いた心豊かになれる時間」「OPEN:誰にでも開かれた空間」「CULTURE:その街ならではの文化を楽しむ体験」の3つ。「この3つの言葉が出てきた時、ホテルが大切にすることがわかりやすく、伝えやすい言葉にまとまってきたなと思いました」と長谷部は振り返る。
新ブランド発表会を行ったのは、2020年1月27日。ここから「sequence MIYASHITA PARK」の8月開業に向けての準備が加速していく。

他社との大きな差別化。それは、
メンバーの個性とアイデアを活かした運営スタイル。

これまでの当社ホテルと「sequence」が大きく異なる点の一つに、チェックイン、チェックアウトの仕組みがある。他のホテルが対面チェックインであるのに対して、当ホテルブランドはセルフチェックイン。さらに一般的なホテルと違い、時間も17時。また、チェックアウトが午前10〜11時が一般的であるのに対して、チェックアウト14時と新たな取り組みである。当然、オペレーションもゼロベースから構築していく必要がある。永井はこれまでの経験をもとに、時間ごとのスタッフの人員計画や基準シフト、接客手法、スタッフの研修計画などを整理して骨子をつくり、それらをメンバーに引き継いでいく。
中でも永井から研修計画・実施の役割を引き継いだのは、2020年1月に渋谷(sequence MIYASHITA PARK)開業準備室にジョインした小酒井だ。永井が研修に関して小酒井に授けたのは、「アクティブラーニング」という手法である。「今回のチームでは最初からアクティブラーニングを取り入れていて。一人ひとりが自分でちゃんと考えてアクションを起こしていくというコンセプトがありました」。それは長谷部の戦略でもあった。「企画会社が考えたブランドに沿って運営するだけのホテルブランドが多い中、メンバーの個性とアイデアを活かした運営スタイルを構築できれば、他社との大きな差別化になる。それにより、時代に合わせて今を取り入れた進化できるホテルにしたいと考えたのです」
その意を受けて小酒井も自ら考え、調べ、動き、研修計画を立案し、4月以降は新しいスタッフへの研修を実施。その中で最も苦労したのは、その当時では珍しい試みである「在宅リモート研修」だ。「現地研修を予定していたのですが、コロナ禍の影響で実施できませんでした」
「sequence」は多様な方が訪れるホテルであり、人に合わせて対応するためどの方に対しても同じようなサービスを提供するという決まりはない。自由度がある一方、相手をしっかり見て、何を選択するのがベストなのか、常に一人ひとりが考えて接客を行う必要があり、その分、難易度は高い。だからこそ研修ではおもてなしのマインドを伝えることが重要となる。そこで小酒井は一計を案じる。「みんなに考えてもらう時間をとったり、一人ひとりが発言できるように工夫しました。また、課題図書を提示し、その感想をもらうことで価値観を共有していきました」

開業当日の混乱を乗り越え、
みんなで修正・実行できるチームへ進化。

入念な準備の末、2020年8月1日に「sequence MIYASHITA PARK」は開業の日を迎えた。しかし……。「試泊の仕方の制限もあり、思うようなロールプレイングがほとんどできなかったのもあるのですが、取材も入り、また多くのお客さまを迎え入れることに対して、スタッフ全員が混乱しました」。通常のカウンター越しの接客ではない、広いロビーでチェックインをするため、従来のサービスとは異なる難しさがある。長谷部は「徹底してトレーニングを積み上げてきたのに…」という悔しさを胸に抱きつつ、すぐに立て直しを図った。「主要メンバーを集めて即日ミーティングを開き、何が悪かったのかを意見交換し、全員で改善ポイントを確認していきました」
たとえば、永井が見出した問題点の一つはインカムの使用だ。「インカムに集中していることで混乱していると感じたので、外しましょうと。そうすると自然に声を掛け合えて、スムーズにいくようになりました」。一方、小酒井が行ったのは、一人のスタッフが業務を抱え込むことなく、他のスタッフにSOSを出せるような環境づくりである。
「sequence」でのすべてが、当社が今までやってきたことの延長線にはない。だからこそ、実践を繰り返す中で進化し続ける必要がある。そう考える長谷部は、「すぐに修正案を出して、それを即日みんなで実行できる、そんなチームづくりができた」ということに喜びを感じていた。

先進的な取り組みを続け、
さらなるお客さまの体験価値、スタッフの成長価値を。

「sequence MIYASHITA PARK」開業後、長谷部と永井は引き続き、「sequence SUIDOBASHI」の開業・運営にも奔走。一方、小酒井は、「sequence MIYASHITA PARK」で時間責任者(インチャージ)を担っている。そんな中、「sequence」への共感・認知が少しずつ広がっていると永井は言う。「当ホテルブランドの価値を伝えていく努力を続けてきた結果、「sequence」を好んで足を運んでくださる方、コロナが終息したら宿泊したいと思ってくださる方が増えているのを実感しています。実際、“ノートPCを広げて仕事しつつ、ホテルライフも満喫”といった、これまでにない体験を楽しんでいらっしゃる方もいます」
「sequence」がその真価を発揮するのはこれからだと言うのは長谷部だ。「私たちは時代の少し先を見てどんどん進化し続けて、それをお客さまの体験価値、さらにスタッフの成長価値につなげていく。そのように積極的に先進的な取り組みをしていくことで、より『sequence』たる存在になると思っています」
白紙のキャンバスに絵を描くように、未知のチャレンジに挑み、数々の困難を乗り越えてきた、「sequence」プロジェクト。当社はまた一つ、新しい時代の扉を開いた。